亜種特異点PR:夢現電脳楽土プリパラ
プリパラは良いぞ
現在、YouTubeのテレ東公式チャンネルにて、アニメ『プリパラ』シーズン1の無料配信が毎日更新されています。
この記事を書いている時点で28話まで更新済み。
配信日から1ヶ月後に無料配信が終了するので、あと3日ほどで第1話から順に配信が終了していきます。
もう、ね、この機会にぜひ。
私は思い入れの強い作品ほど逆に上手く布教記事にしにくい……という癖があるのですが、プリパラはまさにその代表格。
プリパラに貰ったものが大きすぎる。
間違いなく私の人生でもっとも強く心に刻みつけられたアニメ作品です。
それほどまでに愛する作品をここで紹介するのは本当にしんどい、難しいことなんですが、此度の無料配信はまたとない機会。
ぜひ、このアニメを一人でも多くの人に知ってもらいたい。
……ということで、ここでどうにかプリパラという光について、ほんのわずかですが、紹介させていただきたいと思います。
ここではすべての女の子に、それが許されているぷり
タイトルだけではわかりにくいかもしれませんが、プリパラはアイドルアニメ。
前シリーズ「プリティーリズム」から続く、新たな世界観のアイドルものとして誕生した作品です。
タイトルの「プリパラ」とはなにか?
簡単に言えば、電脳空間に作られたアミューズメントパークです。
年頃になった女の子のもとにいつの間にか届く夢のチケット「プリチケ」を通せば、そこは誰でもアイドルになれる楽園(パラダイス)。
この電脳遊園地を舞台に、少女たちがアイドルとして活躍する群像劇――それが「プリパラ」です。
主人公真中らぁらはアイドルに憧れるだけの普通の女の子だったのですが、ある日落とし物を届けに初めてプリパラへ入ったことで、全てが動き出していきます。
あらすじとしてはこんなところ。
と、ここまででおわかりでしょうが、もうこの時点で一般的な「職業」アイドルものとは話の流れがまったく変わってくるわけです。
何しろ電脳空間(サイバースペース)。
もちろん大筋はアイドルものなのですが、そこかしこにサイバーパンクとしての世界観をちらちら匂わせてきたり、かと思えばストーリーにがっつりSF的な設定が関わってきたり。
リアルワールドとは全く違う外見のアバター、電脳空間で生まれたバーチャルアイドル、複数アカウントによる単独アイドルチーム、現実世界にあらわれる電脳生命、無数に存在するナビゲーションAI……。
そう、わかったか。プリパラはサイバーパンクだ。
だってプリパラのシステムがダウンするとなぜかリアルワールドの世界中の電力がダウンするんだよ??? 超面白くない???
とまぁ、私がプリパラにのめり込んだきっかけはそういった考察厨歓喜の世界観なんですが、しかしそれはあくまでも副次的な魅力です。
一番の魅力は、あえてひとことにまとめるなら、「自由」。
まず、監督脚本の様子がおかしい。
毎回毎回なにかしらいけないおくすりをおキメあそばせられているのかと見紛うような、頭のねじがトルネードスクリュー飛散しまくった台詞・展開のオンパレード。
しかも年アニメということで複数の脚本家が分担で行っているにも関わらず、ほぼ全員が狂気を使いこなしている。というか監督が一番おかしいから統一されてるのかもしれない……。
あ、監督は「おねがいマイメロディ」や「ミルキィホームズ」の森脇真琴監督です。頭おかしいけど超天才だと思う。
いくつか台詞を例示しようかと思ったのに例示が難しいんですよね……多すぎて……。「そふぃのブラシ、ブラシじゃなくてザリガニだよ!」が有名所なのかな。
でもあえて個人的に一番好きな狂気台詞を挙げるなら「わたし、ケガなんかしてないッ!! わたしは小さい頃、闇の組織ゴルゴンゾーラにサイボーグにされて、足には鋼鉄が入ってるの!! あははははははは!!!」ですかね……。
ただ、台詞からとち狂っているだけのように見えて、実はお話の構成は極めて技術的で理路整然としてもいるんですよ……。
特に、展開を視聴者に「納得させる」ための伏線の敷き方、暗示のばらまき方がありえないほど巧みすぎる。あと、「特に説明の必要がない」と判断した伏線を画面の隅っこでひっそり張ってこっそり回収していたり……。
第1話見ただけでも技巧のオンパレードですよ。ほどよく世界観を必要最低限描写しつつ、らぁらという主人公の性格とそれを縛り付ける抑圧の描写、そしてそこからの解放の流れがテンポ良すぎる。プロとはいえぶったまげるわ。
そして作る側のフリーダムさのみならず……。
物語の中で描かれる「自由」のテーマもまた大きな魅力です。
「オシャレなあの子マネするより、自分らしさが一番でしょ」
……とは、最初のオープニングテーマ「Make it!」の歌詞ですが。
まさにこの「自分らしさ」が、プリパラの大きなテーマのひとつになっています。
「自分らしさ」がテーマの作品そのものはそれこそ他にも無数にありますね。
特に同じキッズアニメならいくらでも例を挙げることができるでしょう。
しかしその「描き方」こそ、プリパラが長く愛されている理由のひとつだと思います。
そもそもの構造からして、プリパラは「社会的な束縛から解放される場所」として描かれています。
たとえば第一話、主人公らぁらは「声が大きい」と指摘されることにコンプレックスを感じており、人前で大きな声で歌うことに苦手意識を持っています。
しかし、プリパラでライブをすることになり、直前になってらぁらはひどく怯えてしまうのですが……。
「プリパラは好きぷり? じゃあ大丈夫!」
「みんなはアイドルの歌を待ってるぷり。世界中に向かって届くように、思いっきり歌うぷり」
「ここではすべての女の子に、それが許されているぷり!」
そんな言葉に励まされ、らぁらはものっそいイケボで歌うことを決意するわけです。
ぷりぷり言ってるのは気にするな。むしろここで慣れておかないと死ぬぞ。
好きな衣装、好きな姿で、好きな人と友達になって、好きなアイドルを応援して、そして自分自身がアイドルになり、自分を好きになっていく……
それがプリパラという世界です。
(ちなみに、アイドルになる気がない、いわゆる「見る専」のユーザーもプリパラにはたくさんいますよ)
また、「性別」の描き方についても触れるべきでしょう。
そもそも、「女性」だけが入れる空間プリパラ。しかし、メインキャラの一人には女性装の男性キャラクターも存在します。その子にとってはそれこそが「自分らしさ」であり、解放なわけです。逆に男装の女性キャラもいたり、男性に憧れる男性、女性同士の恋愛っぽい要素も少しだけあったり……。特別お説教臭くするでもなく、プリパラはごくごく自然にそういうあり方を描きます。
プリパラがジェンダーSFとしても評価を受けている所以でもありますね。
なにしろ群像劇なので、当然色んなキャラクターが出てきます。もちろんそれぞれのキャラはある程度トガっているわけですが、それを基本的にあくまでも「個性」として描き、欠点を「克服」させたり「更生」させたりすることはあまりありません。本人が望む場合のみ、それは成長として描かれます。
敵対することはあっても、それはあくまで意見と意見のすれ違い。
主人公らぁらのとある台詞。
「だってみちるさんのこと、今のままで好きだもん。好きってだけでいい。もう無理させるのやめよう」
この「好きってだけでいい」こそが、プリパラが持つ優しさの源だと思います。
「わかりあえなくてもいい」ということ。ただ好きになれるだけで、好きでいてくれるだけで、自由になれるということ。
終盤のとある歌にこんな歌詞があります。
「あなたがいるから、こんなにも自由なんだ」
プリパラの門を開く者、全ての希望を捨てよ
よし、ストーリーの魅力は存分に語った!!
ここからはキャラクター方面について紹介していきましょう。
興味なければ飛ばして頂いて構いません。
プリパラの素晴らしいところは、キャラクターの扱いにもあります。
もう、ね、森脇監督がプリパラキャラのことみんな好きすぎる。
ほぼ話に関わらないサブキャラすらやたらと露出がある。
監督のみならず、もうとにかく全てのキャラクターに対するスタッフさんの愛をめちゃめちゃに感じるんですよ。軽んじられているように感じない。
群像劇でこれをやってくれる嬉しさがわかりますか???
基本、プリパラのアイドルたちは「神アイドル」というアイドルランクの頂点を目指して頑張っているという設定なんですけど、この頂点を決める戦いに、メインキャラのみならずサブキャラもめちゃめちゃ食い込んでくるんですよ。主人公補正とかないんですよ。実力があるものが頂点を競えるんですよ。
この上位勢キャラたちの「容姿・年齢問わず」っぷりがまた素晴らしい。プリパラは誰でもアイドルになれる場所だからそんなん関係ないんですよ。
みんなが主人公なんですよ。
そしてキャラクターの魅力をさらに引き立てるのがライブ!
いや、こればっかりは口頭で紹介しきれないんですが、プリパラのライブはほんっっっっっっとうにすごいですよ……。
何がすごいって、ストーリー上で「すごいライブ」とされているライブの「すごさ」が、実感として視聴者に伝わるんですよ。これは何気にすごいことですよ。
楽曲にいたっては一曲残らず名曲だしな!!
さてそんな愛が籠もりまくったキャラクターたちですが、もちろんメインで話を動かしていく主役たちがいるわけです。
今回の無料配信はとりあえずシーズン1までとのことなので、シーズン1時点でのメインキャラたちを簡単に紹介させていただきましょう。
真中らぁら
我らが主人公。
口癖は「かしこま!」
友達が大好きな優しい普通の女の子!
でもな、プリパラを履修した暁には君もいつの間にか彼女のことを女神のごとく崇め奉っているはずだ。
誰かを誰かのまま受け入れる優しさを持ちながら、その自由を奪うルールは真正面から打ち砕こうとする激しさの持ち主でもある。プリパラの化身とも言える存在。
慈母(ガイア)。
南みれぃ
語尾に「ぷり」をつけるやべー奴。私の推し。
その実態は数学的計算(?)とひたむきな努力で頂点を目指す秀才アイドル。
らぁらをプリパラの主人公とするなら、みれぃは第2の主人公と言えましょう。シーズン2の終盤での大活躍でどうぞ泣いてほしい。私はあれで推しになった。
らぁらの相棒、お姉さん的存在として、時に厳しく時に優しく、共にアイドル道をひた走る。
すんごい受け。
北条そふぃ
トップアイドルとして人気を博しているクールなお姉さまアイドル。そのクールぶりから女の子にモテモテで、親衛隊までいる。
が、実際は「レッドフラッシュ」を服用(キメ)ている時だけクールで妖艶な姿になる。普段は体力もなくふにゃふにゃで、口癖は「ぷしゅ~」。
ファンを「鳥籠の小鳥ちゃんたち」と呼んでいるが、実際は……。
シーズン3になるとハシビロコウの使い手に覚醒する。
東堂シオン
夢小説めっちゃある。
学生囲碁チャンピオンだったが、張り合いをなくしてアイドルに転向した。
「イゴ」が鳴き声。よく四字熟語を引用する。
常にライバルを求め、みれぃに対して(半ば逆恨みから)強い対抗意識を持つ。
さわやかで凛々しく、侍みたいな性格のため、やはり女子にモテる。視聴者の女子にもモテる。
ドロシー・ウェスト
煽りの申し子。
カナダ出身のハーフで双子。一人称は「ボク」で口癖は「テンションMAX!」
とにかく煽る。もうちょっと信じられないくらい暴言気味に煽る。「道理で色気が全然ないはずだ~」「ほんとに常識ないんだね!」「裏切り者は白状しなよ」「もう写メも撮っちゃったもんね~プリッターで拡散拡散~」Etc……
プリパラの持つ毒。……いや、もちろん良い子なんですよ。ほんとだよ。
ちなみに最近行われたキャラクター人気投票で見事1位を獲得した。おめでとう。
レオナ・ウェスト
癒し。
カナダ人のハーフで双子。一人称は「わたし」で口癖は「リラックス~」
姉であるドロシーとは常に行動を共にしており、共依存気味。
プリパラとは思えないほど穏やかで優しい性格で、衝突しがちなシオンとドロシーの間を取り持つ良心。
ちなみに料理をする時は新妻エプロン着用だ。
何も間違ったことは書いていない。
ファルル
謎のアイドル。
アイドルたちの口癖や決め台詞を真似する癖がある。
空虚で、人間味のない立ち振舞い。どこを見ているかわからない虚ろな瞳。
プリパラの門をくぐる者、だいたいこの子に100回ぐらい泣かされる。
……とまぁ、主にはファルル以外のこの6人を主役として、プリパラの物語は進むわけです。
ただ、シーズン2では6人、シーズン3ではさらに4人、サブキャラからメインに昇格したキャラを含めると7人もアイドルが増えますし、最終シーズンであるアイドルタイムではまた8人増えるので、本格的にプリパラが群像劇として動き出すのはシーズン2以降ですね。
そう、このアニメ、シーズン1だけでも十分面白いんだけど、シーズンが2、3と進んでいくにつれどんどん面白さが上がっていくんですよ……。キャラがバンバン増えていくのに、誰一人雑に扱われることがないから。
まさにそれがプリパラらしい魅力かもしれません。
あと、「そんなに頭おかしくもなくない?」と思った方はぜひシーズン2中盤まで。完全に手をつけられない真の狂人が登場するので。
(殺生院キアラは出ません)
あなたがプリパラに来るのをみんな待っているよ
さてさて、大方概要程度には語らせていただきました。
ごちゃごちゃとあれこれ語ってしまいましたが、とにかく愛の籠もった素晴らしい作品だということはわかっていただけると幸いです。
……や、つくづくね。
いち創作を趣味とする人間として、生涯でたった一度でいいから、こんな作品を書いてみたいと思える、そういうデカさ、厚みを感じさせてくれる作品ですよ。
シーズン3のクライマックス、プリパラが作品全体のテーマとして出したひとつの「答え」に、当時愕然として、膝から崩れ落ちましたからね。そう、確かにプリパラならきっとそう言うんだけど、まだそう思える人がすごく少ない世の中で、まさか本当にそれを、堂々と、言ってのけるなんて。
当然好みによっては刺さらないかもしれませんが、少なくともプリパラは「誰にでも」手を差し伸べてくれる世界です。
またとない無料配信の機会、ぜひ一度触れてみてほしいです。
や、ほんと、あと3日くらいで1話から消えちゃうからね……!
ご興味ありましたらぜひお早めに。
おしまいのかしこま!