たてかんばん

ゲームとかアニメとか、好きなように綴ります

『スプラトゥーン』に全く触れてこなかった百合好きが突然『スプラトゥーン2』を購入、わずか半月でテンタクルズ沼にブチ落とされた話(前編)

 

          ◇

 

 ――それは、光だった。

 一度記憶がバラけたワタシにも、その眩さが生まれて初めて目にしたものということだけはわかった。

 地下世界の影を形作る白熱灯の光とは違う、瞳孔を貫くような赤き朝焼け。都市の建造物が歯型のように立ち並び、ジグザグに切り分けられた空と海の境界線に炎のごとく浮かぶ輝き。

 ぬらりと湿った肌を外界の風が冷やす。眼球がささやかな痛みを訴えたのは、そのせいなのか。

 そこへ。

 まだ会ったこともなかった、ワタシの友人の声が響き渡る。

 あの決死の脱出劇の中でなお、心を奮い立たせてくれた二人の歌と共に。

 けたたましいローターの回転音の中でさえ、あの光まで届きそうなほどの――。

 

 ――おそらくワタシは。

 この記憶だけは、生涯、失うことはないのだろう。

 この日見た朝焼けの色を。

 激しかった戦いを。

 はるか彼方から会いに来てくれた、ワタシの友達の姿を。

 

          ◇

 

 いやもう、タイトル通りなんですが。

 

 やっべーーーぞ。

 まさか半月でこんな信じられないくらいドッブドブにハマるとか思わないじゃん。

 冒頭でこんなSS書くほどハマるとか思わんじゃん。

  今の私、良い意味で過去最高ににわかファン。

 もう以前のアタシには戻れないのよ……。

 

 簡単に言えば、

 『スプラトゥーン2』を買い、

 テンタライブを見、

 オクト・エキスパンションをクリアし、

 テンタクルズは運命と知った。

 

 ※イカの文章には百合好き特有の視点や解釈が含まれますのでご注意ください。

 

 

何が良かったかと言えばタイミングが良かった

 

 事の起こりは年始。

 様子がおかしくなり始めていたスマホを買い替えた私は、降って湧いたお年玉――もとい、キャッシュバックのポイントを何に使うか悩んでおりました。

 

 選択肢は色々あった。たとえば1月末には『バイオハザードRE:2』の発売が控えていたり。『キングダムハーツ3』も同日発売につき、それ自体はまだ保留とするにしても、まだ手を出せていなかったBBS以降のシリーズ、つまり1.5やら2.5やらを揃える手もありました。あ、マイクラもやりたかった。

 

 しかし、あえての『スプラトゥーン2』。

 「アートデザインが好み」「世界観が好きそう」ということで気にはなりつつも、WiiUを買い逃したこと、シリーズものは基本的に1からプレイする性分であることなども相まって、これまで触れてこなかった作品でした。

 それでも買ったのは、余ったポイントで同時にNintendo Switch Onlineの1年プランに加入すれば『スマブラSP』のネット対戦もできるようになるということで、色々都合がいいということ。さらには、たぶんこの先WiiUを買って1をやるまで放っておいたら、完全に乗り遅れてシリーズ自体遊ぶ機会を失いそうだったこと。

 

 あと、ちょうど『ワールドトリガー』を読み返した後で「チームバトル物いいな!」っていうテンションだったのも。

 

 つまるところ、当時はそこまで『スプラ2』を渇望していた訳ではなく。

 いい機会だから買ってみよう、買うからにはめいっぱい楽しもう、くらいの気持ちだったのでした。

 

 

そして2人に出会った

 

 『スプラトゥーン』にまったく触れたことのなかった私でも、「シオカラーズ」の存在くらいは知っていました。

 2人組のアイドルであり、作中のマスコット的存在。

 ニュース番組でゲーム内の近況を伝える役。

 ことさら2人の歌う「シオカラ節」というイカ語の歌がたいへん人気。

 まあ、その程度の知識です。

 

 ですから、初めて見るハイカラニュースで2からの新キャラクター――テンタクルズを目にした時、私は「あ、知らない人だ」程度にしか思いませんでした。

 おそらく前作から遊んでいる人にとっては「シオカラーズ」の方が思い入れが深いのだろう、くらいは想像することが出来ました。正直、画面に映っていた2人は見たことも聞いたこともなかったのです。

 普段ならこういうユーザーとしての感情の流れも体験しておきたいので、なおのこと1からやりたがるわけですが。

 しかしながら今回は珍しく、2からの参入。 

 

 私にとっては初めて目にするスプラのキャラクターらしいキャラクター。

 ちっちゃくて目つきの悪いMCヒメ、大人っぽい雰囲気ながらヒメを「センパイ」と慕うDJイイダ。私にとっては十分すぎるくらい魅力的で興味を惹かれるコンビでした。

 いや、だって百合厨だからな? そこはな? 頭の上のアンテナもちゃんと反応したからな?

 

 せっかく1を知らないんだから、知らないなりにこの2人を好きになっていこう。

 つたなくナワバリバトルやヒーローモード(1人用ストーリーモード)をこなしながら、ぼんやりとそんなふうに考えていました。

 

 まさかその数週間後、ものの一撃で沼に叩き落とされるとも知らずに。

 

 

タイミングが良すぎた

 

 バレルスピナーがたのしい!!!

 

 私と同じく『スプラ』にさっぱり触れたことのない方に向けて説明いたしましょう。

 バレルスピナーっていうのは簡単に言うとガトリングガン。一定時間チャージして遠方にインクを連射する、後方支援型のブキです。前線やや後方から味方が動きやすくなるように援護しつつ、敵に攻め込まれないように自陣を守り抜くのが主な役割になります。

 ……たぶん。

 ……始めたばっかりだから詳しいことはわかりませんけど。

 

 ある程度ブキを揃えた私は早々にバレルスピナーを気に入り、日々練習しておりました。ようやくランク10にもなり、ガチマッチにもちまちま顔を出すように。

 そうすると、他人がどういうプレイングをしているのか、どういうのが上手いプレイングなのかも気になってきます。なにしろチームバトルですから、右も左もわかってないうちは勝っても負けても他人のせいにできるわけですよ、ええ。

 

 時は1月も後半。

 タイミングのいいことに、その頃ちょうど行われていたのが「スプラトゥーン甲子園」の予選試合。

 試合の様子はYouTubeで配信されており、アツいナワバリバトルにいち初心者として胸躍らせていたのですが。

 その数日後、ゲーム大会イベント「闘会議」にて決勝大会が行われ、そちらの様子も生配信されるということで。

 なるほど時間があったら見ようか、程度に思っていたわけですよ。

 

 で……。

 闘会議1日目、朝。

 テンタクルズによる初単独ライブ「テンタライブ」が。

 その日のスプラトゥーン甲子園の試合日程終了後、同会場で。

 夕方ごろから行われるという情報を目撃したのです。

 

 「ちょっと面白そうだから観てみよう」

 ……当時の私はそんなもんでした。

 

 今思えばこの瞬間、全ての歯車が噛み合ってしまったのですが。

 

 

前哨戦

 

 テンタライブ開始前。

 それなりに楽しみにしていた私は、昨年の闘会議で行われたライブ「イカライブ」の映像で予習することにしました。

 こちらはテンタクルズとシオカラーズ合同でのライブ。

 前半をテンタクルズ、後半をシオカラーズが務める豪華なライブです。

 

 


スプラトゥーン2 ハイカライブ 闘会議2018

 

 私は呆然としました。

 ……えっ、良すぎない?

 

 う、動いてる。テンタクルズが動いてる……存在している……。

 この時点ではまだテンタクルズの持ち歌なんてひとつも知らなかったんですけど、こんなにオシャレでイカす楽曲とは思ってなかった……。

 というか、まだあまりヒメセンパイに「カッコイイ」っていうイメージがなかったんですよ。だってあの人ハイカラニュースでは割と可愛い喋り方と動きじゃないスか……見た目的にも……。

 でも、いざライブを観てみたらもうダンスといい高速ラップといいMCといい客の盛り上げ方といい、挙動が全て格好良すぎる……。いや、見た目は可愛いのに性格イケメンなガールが昔からツボなんだって……。

 相方のイイダもめちゃめちゃセクシーボイス&ダンス。というかものすごい歌唱力だ……!? ショルダーキーボードかっこいいぞ……ヒメセンパイはボーカルもやりつつ結構ラップパート担当……。

 えっ最高にイカす……。

 

 そして後半のシオカラーズライブ。まだヒーローモード途中だったので、「あさってColor」とアオリちゃんは完全に初見でした。

 あ……アイドルだ~~~!!

 もう、テンタクルズがイカに大胆な方向転換をしたかがよくわかる。正統派アイドルからのEDMユニットって……!!

 そしてなんとなくは知ってても、ちゃんとは聴いたことのなかったシオカラ節。あ、アガる~~~!!! 作中で聴いたことなくても多少なりとも知ってる曲なだけに!! アガる~~~!!!

 やはり1からのキャラということで、会場の好感度がバリ高なのも伝わってくる……盛り上がりがすごい……何より曲がいい……シオカラーズかわいい……語彙力……。

 

 そしてシオカラーズとテンタクルズ4人でのラスト曲! もうね~~、イイダがシオカラーズの大ファンであることがよくわかるはしゃぎ方で可愛い。ファンの視点を持ってるアイドルって……いいよね……

 でね、やっぱり人間ラストに知ってる曲流されるとテンションが上がるんですよ。ラスボス戦で主題歌を流されたら誰だってアガる。俺の国じゃガキでも知ってる。

 スプラトゥーン2を始めたばかりの私でも知ってる曲、ナワバリバトル終了1分前に流れるハイテンポな曲「イマヌラネバー!」。正確にはまだ経験していなかったフェスで流れるverだったわけですけども、いやそんなの盛り上がるにきまっている……!

 

 ……ま、満足感がすごい

 まだテンタライブを観ていないのに、すでに満足している自分がいました。

 というか最後退場する時のヒメセンパイかっこよすぎませんか……。

 

 もちろんこの時点でテンタクルズへの好感度は爆上がりしていたわけですが。

 しかしハイカライブでは、どちらかというとスプラトゥーンというコンテンツそのものへの好感度が上がっていたわけです。

 いや、だって、こんなにいいライブをずっと観てきたなんて……ずっとファンだった方々がうらやましすぎるではないですか……!!

 

 これはテンタライブも楽しみだぞ、と。

 この時の私は、すでに触手に足を絡め取られていたことには気づいていなかったのです……。

 

 

テンタクルズにやられた!

 

 そして。

 


スプラトゥーン2 テンタライブ 闘会議2019

 

 ――

 ――――

 ――――――

 

 ……自分の足元が抜け落ちた感覚がありました。

 あの日あの時の感覚を、私は未だに言葉にできない……。

 というかこんな文章いいから動画を観てくれ。

 

 セットリストはハイカライブでも歌ったフェス曲に加え、スプラ2の大型DLCオクト・エキスパンション」での追加曲が数曲。もちろんフェスすら経験したことのなかった当時はそんなことも知らなかったわけですが。

 

 いや、テンタクルズの曲は誇張ではなくマジで全部良い。「リップル・リフレイン」のヒメラップ超カッコいい……そりゃイイダもセンパイ全肯定botになるわ……。あと「レッド・ホット・エゴイスト」カッコ良すぎませんか……。あの曲の途中でバンド紹介が入る演出とかもう最高のそれですよ……!?

 しかし、私がことさらに熱狂したのは後半「ミッドナイト・ボルテージ」以降の「オクト」での新曲群(最初の「ナスティ・マジェスティ」もオクト曲ですが)。

 いや、本当なら「オクト」をプレイした人こそ熱狂するはずの曲なわけですよ。実際会場の盛り上がりは本当にスゴかった。

 

 しかしそれでも、何も知らない当時の私は「ミッドナイト・ボルテージ」での衣装替えからの曲に心底魅了されました。

 まずもってヒメセンパイのオクト衣装が可愛い+カッコいい=やばい(真顔)。加えて「ミッドナイト・ボルテージ」でのイイダのボーカルがセクシーすぎる。本人の性格は超可愛いのに歌は超クール。

 あっ、この2人最強なのでは??

 1曲聴く度に好感度が爆上がりしていくぞ???

 

 そして……そして「ミッドナイト・ボルテージ」に続くバラード曲、「フレンド・フロム・ファラウェイ」。フレ……「フレンド・フロム・ファラウェイ」!?!?!?!?

 私はそのタイトルを見た瞬間にクラッと来ました。いやいやいやいや。

 

 だって、いくら私がスプラ初心者でも、「彼女」がイカではないことくらいなんとなく察していたわけですよ。最初のハイカラニュースでも少し匂わせていましたし。いや、そもそも名前。

 そのうえで!? テンタクルズが歌う激エモしっとりバラード曲があって!? そのタイトルが「フレンド・フロム・ファラウェイ」!?!?!?

 

 もう、そこからは頭まっしろになりながら心のペンラを振りましたよ……。

 もしこの時すでに「オクト」を履修していたら確実に泣いていた。というか履修済のファンの方々は実際に泣いていたと聞く。というか履修してから見直したら実際に泣いた。テンタクルズの作詞担当はヒメセンパイだと知ってからなおのこと泣ける。

 テンタクルズの曲全部大好きですけど、これだけは本当に殿堂入りさせたい。そのくらい良い曲。しかもライブ版のアレンジがまた素晴らしいんですよコレ……!

 

 っていうかその後のMCで「なんかこの曲歌ってっと、はじめてイイダと出会った時のこと思い出しちゃうんだよな……」ってえアァアア(回転斬り)

 

 そしてクライマックスの「フライ・オクト・フライ」!! 前の曲でしんみりしているところからのアップテンポ!! 盛り上がりすぎる!! というかセンパイの盛り上げ方が上手すぎる!!

 からのラスト曲「フルスロットル・テンタクル(Oct)」……!

このノド オマエらにくれてやるぜ!

 いやかっけえにも程があるぞ!?!?

 からの反復横跳び!! そしてメガホンレーザー!!

 後になってみればこのあたりの演出は「オクト・エキスパンション」のネタだったわけですが、いや知らなくてもアガるっつーの!! 最高だっつーの!!

 イイダの歌唱力の暴力!! どこまでもイカしたヒメセンパイ!! ハイタッチ!! 半音上げ転調!! さらに半音転調!!

 カァーーーーーッ!!!!

 

 

 

こうして私は干からびたスルメになった

 

 一撃必殺。

 いや、「ハイカライブ」まで含めると二撃になっちゃいますけど。

 まったく無警戒だった奥手からリッター4Kで狙撃瞬殺みたいな。

 

 もう、あまりにも衝撃すぎて、ハイカラスクエアのかたスミでラジオ収録中の2人をガラス越しにかじりつくように見てたんですけどね。

 そしたらね、イイダがね、こっちに気づいて手振ってくれるんですよ……そしたらヒメセンパイも「あ~ん?」って感じに振り向いてポーズ決めてくれるんですよ……。

 いや、ウチの4号(スプラ2主人公の通称)は間違いなく黄色い声を上げました。この瞬間から「テンタクルズの追っかけ」キャラが脳内設定で付いた。

 

 ともかくそんな経緯で、まんまとテンタクルズの沼(インク)に墜落してしまったわけです。

 

 ……ただ、私にはわかっていました。

 「ここはまだ浅瀬だ」と。

 そう、先ほども少々触れた「スプラトゥーン2」のDLC――「オクト・エキスパンション」。

 イカではなくタコを主人公とした大型ストーリーDLCです。

 なんでも、テンタクルズが主要キャラとして大きく物語に関わってくるという。

 

 ああ、もう、そんなことを言われてしまったら買うしかない

 その時点ではまだヒーローモードすら終わらせておらず、比重としても「普段のバトルに疲れた時に少しずつやる」というスローペースぶり。

 しかし「オクト」をやるために予定を変更。ナワバリバトルもガチマッチもスルーしてヒーローモード攻略を最優先に……。

 

 

 といったところで、続きは次回といたします。

 ……いや、ホントはオクトのことをメインに語る記事だったはずなんですけど気がついたら6000字超えてたんですよね……おかしいね……