たてかんばん

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『スプラトゥーン』に全く触れてこなかった百合好きが突然『スプラトゥーン2』を購入、わずか半月でテンタクルズ沼にブチ落とされた話(後編)

 

          ◇

 

 光を見た。

 初めて空を見上げた時、蒼天の中に地上を照らす光があった。

 その眩しさに、輝かしさに――何よりもあたたかさに、胸を打たれた。

 

 光を見た。

 日が沈み、空が暗闇に染まろうとも、その中に瞬くものがあることを知った。

 知らず、あの歌を口ずさんでいた。歌いたい、と思った。あの二人の紡ぐ歌のように――いや、そんな高望みでなくてもいい。この心に瞬くものを、誰かに聴いてほしかった。

 

 光を見た。

 どこまでも響く声、だった。永遠に体の中で反響しつづけるような、鮮烈な歌声。自信と力に満ちあふれたその歌は、けれど届かない星に手を伸ばすような孤独の色を帯びていた。

 あの憧れた歌とはまるで異なるグルーヴ。だというのに、それは怯えも冷静さも吹き飛ばして、ワタシという存在を突き動かした。

 目映いばかりの輝きの中に――隣で歌う自分の、幻影を見たのだ。

 

 光を見た。

 それはワタシに言葉をくれた。

 この世界での生き方を教えてくれた。

 燃えるような烈しさをくれた。

 溶けるほどの優しさをくれた。

 ――こんなワタシに、居場所をくれた。

 夢も、愛も、歌も。

 まるで己の半身とばかりに、何もかもすべてをワタシに与えてくれた。

 打ち明けられない秘密が荊のようにからみついても――それでも縋りつきたいと、願ってしまうほどに。

 

 涙が出るほどに眩しく、輝かしく、あたたかく。

 ――ああ、太陽とはこういうものだった、と。

 

 思い出すのは、いつも同じ光だった。

 

          ◇

 

(前回の記事:『スプラトゥーン』に全く触れてこなかった百合好きが突然『スプラトゥーン2』を購入、わずか半月でテンタクルズ沼にブチ落とされた話(前編) - たてかんばん

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